|
八月二三日、題記観劇会をシルバーヴィラ向山、アプランドル向山、土支田創生苑(高齢者、身障者)合同で実施した。参加者八二名。必要かつ十分に介護のヘルパーさん達が同行して、きめ細かくお世話をする。先ずこうした裏方さん達のご苦労に感謝の意を表したい。
大型バスによる道中もつつがなく、今回は余裕を持って開演一時間前に到着した。
先ず第一の目的は、「御所桜堀川夜討」弁慶上使の場。 我等が片岡嶋之亟丈は主役針妙おわさを演じる。故六世歌右衛門丈、現雀右衛門丈、芝翫丈くらいしか演じたことがないような大変な立女形の大役である。失礼ながら期待と若干の不安を持って観たが、その出来栄えに驚嘆した。よくぞここまで勉強し、立派に演じたと思って感激した。お世辞ではない。殊に弁慶との再会を喜び恥じらい、恋人のお色気を表現するところ、そして娘の死を悲しむ母親の情、口跡は「七色の声」の嶋之亟丈だけあって柔らかくかつ凛と通って申し分なく、竹本に乗っての仕草も堂に入ったもの。一番良かったのは母親役として老け過ぎなかったこと、こうした役ではとかく母親を強調しすぎて、老けることが多いが、娘、女、若く美しい母親を立派に演じ分けたといえよう。百点満点を差し上げたい。芸格が一段と上がったことが感じ取れた。
他の役者も無難な出来、市川竜之助丈の弁慶は口跡に一寸難があるように感じたが
熱演。中村東志二郎丈の侍従太郎、中村竹蝶丈の奥方花の井は出過ぎず好演、嵐徳江
丈の腰元信夫は控え目で美しかった。
次の演目との間の幕間に、「嶋之亟丈が隣接大劇場のロビーまで出向かれて、例により皆々と記念撮影、お年寄り一人一人と握手をする心遣い、ファンを大切にする立派な心掛けと嬉しく思った。
疲れた方々は此処で帰路に着き、比較的に元気な者は次の「盲長屋梅加賀鳶」を観劇した。
こちらは気軽に面白く観られる黙阿弥もの、出演者も役揃いで七五調の威勢の良い台詞回しを楽しめた。主役の竹垣道玄の嵐橘三郎丈は尾上松辰丈の代役というが、立派に演じて日頃の研鑽振りが偲ばれた。中村歌女之丞丈の女按摩お兼は達者で安心して観られた。演技力の確かさが伝わる。梅吉の市川升一丈、松蔵の市川新七丈をはじめ加賀鳶の面々は威勢がよい。楽しい一幕でした。
帰路のバスの中でも楽しかった。面白かったの会話が弾んで、大成功の観劇会でした。(島 記)
|