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70歳以上の機関誌「銀杏」
論壇 瀋陽総領事館事件  
 
 
  
 
烏山 建夫(76歳)
 

 亡命目的の北朝鮮人五人が日本総領事館に駆け込み、そのうち三人は入口付近で中国の人民武装警察官に取り押さえられ、残る二人は同領事館のビザ申請待合室まで入ったのに、追いかけてきた武装警察官に連れ去られた。
近くの米国総領事館にも同様の駆け込みがあったが、中国はこれには知らん顔。
小泉首相は「日本の立場もあれば、中国の立場もあるから冷静に」と外務省に指示し、「日中関係を阻害しないように対応すべきだ」と最初から及び腰。
外務省は「中国の取った行為は領事機関の公館の不可侵を定めた国際条約違反である」と抗議し、五人の引渡しを要求したが、中国外務省は「外国の総領事館公館への闖入者を取り押さえるのは国際条約違反ではない」と強弁し、更に「警察官は副領事の承認を得て領事館内に入った」また「五人を連れ去る時には副領事から謝意を表された」と発表した。日本側は反論しているものの歯切れは悪いし、ビデオで見る光景からも中国側の言い分の方が正しいようにさえ感じられた。
中国側の行為は明瞭な公館の不可侵権侵害なので、正しい主張は貫かねばならず、身体を張ってでも国益と国家の尊厳を守る気概のある政治家、外交官はいないのか? 日本の外交は、常に弱腰、逃げ腰である。敗戦国であり、侵略者であったと責められる立場だが、戦後五十年以上を経過した現在までも、日本外務省の在外公館は常に弱腰、事なかれ主義で、現地官憲等と馴れ合いのようで情けない。
歴史教科書問題、総理の靖国神社参拝問題、先般の不審船引き揚げ問題などについて中国のとる態度はいつも横暴で無礼で、高圧的かつ日本を舐め切った態度で横車を押す。今回も中国外相は「中国と日本の長い特別な関係を考えて、日本はあまり熱くならないようにしなさい」とわざわざ日本語で発言した。まるで「黙って中国の言うことを聴け」と言わんばかりである。そのくせ日本から資金援助や技術指導を引き出そうとする。そんな国にいつもへりくだる必要はない。それらの打ち切りをちらつかせて、堂々と対抗すればよい。
今回の事件も、五人の身柄を第三国経由で韓国へ送って一応決着したが、日本の抗議は完全に無視された。日本政府はサッカーW杯大会開催期間中この問題を棚上げにして、その後に不可侵権侵害の主張を続けるとしているが、結局はうやむやになるに違いない。
今回又在北京の韓国大使館に北朝鮮の父子二人が駆け込んだが、父親は中国人の警備員に連れ出され、警官の手で強制連行されたとのこと。連行阻止に努めた大使館職員が警官に暴行を受けて負傷した。韓国は中国に強く抗議したが、中国政府は「韓国大使館員は、特権を乱用し、中国側の公務執行を妨害した」と強弁したという。中国の横暴さは正に論外。日本と韓国は連携して米国の力を借り、筋を通さねばなるまい。

 

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