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ムーディズという信用格付け会社が日本国債の格付を引き下げ、発展途上国並みにしてしまったことは新聞などで先刻ご承知のことと思う。ムーディズは正式にはムーディズ・インベスターズ・サービス・インクといい、スタンダード・アンド・プアーズ・コーポレーション(S&P)と並んで世界的に最も有名な信用格付け会社の一つである。
私は専門家ではないので信用格付けの意味については新聞雑誌をご覧いただきたいが、この「信用格付け会社」の信頼性について私の個人的意見を申し上げたい。
ジャカルタに本社を置くアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)という巨大紙パルプ会社がある。ここ十数年の間に急成長して中国、インドネシアを中心に事業を拡大し世界有数の紙パルプ会社にのし上がった。一時はニューヨーク証券取引所に上場するなど大変な勢いだったが、現在負債を百三十五億ドル抱え、株価はただ同然で投資家は大損害を被っている。ここまでは放漫経営で会社がおかしくなったというだけの話だが、APPの信用格付けがその実質倒産に至るまでにどう推移したかに注目したい。
APPが債務不履行(借金の元利返済が滞った)を起こし経営危機が明るみに出たとき、S&Pはあわてて毎週のように格付を下げて行った。最後は投資不適格にしたわけだが、そのときには市場は既にAPPを見放して株式や社債の価格は暴落していた。信用格付けは病人が危篤になるまで健康状態だと言い張っていた藪医者のようなものだと思った。一方ムーディズはこのとき格付の修正をせず、ひたすら沈黙を守っていた。現在はもちろん投資不適格にしているだろうが、いつ辻褄合わせをしたのかは私も知らない。インベスターズ・サービス会社(投資家にサービスを提供する会社)と名乗っているが、投資家が損をしても責任を負わないのだから誠に良いご身分だ。つい先日米国のエンロンという大きなエネルギー会社が経営危機に陥り、日本でも多くの投資家がひどい目にあった。このときもどうせ後で辻褄合わせをしたに違いない。
そこで自分たちのいい加減な調査で投資家に損害を与えたのをごまかすために、債務不履行の心配がない日本国債の格付を下げるという猿芝居をやるとは、まさに笑止千万である。「信用格付け会社」の情報に信用が置けないのは事実だが、日本国債格付引き下げの理由は残念ながら間違いだとは思えない。国家財政は赤字垂れ流しで、政治家も役人も平チャラ。「国滅びて道路、港湾、飛行場が残る」という予算無駄遣い。民営化されるまで赤字を積み上げ、毎年料金を上げてきた国鉄がJRになってから税金を払っているのを見れば、道路公団、郵政の民営化は当然の方向であろう。当たり前のことをやろうとしないのは、国益より個人の利益を優先している証拠といわれても弁解の余地なし。この政官の腐敗ぶりにムーディズがイェローカードを出したのなら、ブーイングするわけにはいかず。情けないことである。
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