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夕風に千の藤房揺れ匂う
この町にはや二タ年の濃紫陽花
吉野 久米(九三才)
紫陽花や終の住処(すみか)に吾一人
友も出来若葉の風の心地よし
長沢 菊枝(九〇才)
屋上の朝風涼し車椅子
賛美歌は浄く流れて庭若葉
吉野 恵子(八四才)
木戸開けて牡丹の前へ導かれ
紫陽花の花を描ける藍の彩
海老原 泰子(九〇才)
古里の鎌倉恋し夏の雲
夏草や今日も来ている迷い猫
相川 良枝(八九才)
梅雨寒や袖の短かさ気にかかり
家政婦の去りて梅雨寒個室かな
布施 やす(八〇才)
木洩れ陽やトロッコ列車は宇奈月へ
含みたる茶のあまさかな薄暑なり
藤田 比呂(七六才)
大空に輪をかくとんび勇ましく
古井戸に昔しのばるおもかげを
井口 三代(七三才)
小雨の夜鳴き鳴き渡るほととぎす
朝顔は早くも咲くや垣根越し
田中 祐男(創生苑)(六七才)
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