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70歳以上の機関誌「銀杏」
俳句・短歌・時事川柳  
 
 
  俳句
 
 

夕風に千の藤房揺れ匂う
 この町にはや二タ年の濃紫陽花

吉野 久米(九三才)

紫陽花や終の住処(すみか)に吾一人
 友も出来若葉の風の心地よし

長沢 菊枝(九〇才)

屋上の朝風涼し車椅子
 賛美歌は浄く流れて庭若葉

吉野 恵子(八四才)

木戸開けて牡丹の前へ導かれ
 紫陽花の花を描ける藍の彩

海老原 泰子(九〇才)

古里の鎌倉恋し夏の雲
 夏草や今日も来ている迷い猫

相川 良枝(八九才)

梅雨寒や袖の短かさ気にかかり
 家政婦の去りて梅雨寒個室かな

布施 やす(八〇才)

木洩れ陽やトロッコ列車は宇奈月へ
 含みたる茶のあまさかな薄暑なり

藤田 比呂(七六才)

大空に輪をかくとんび勇ましく
 古井戸に昔しのばるおもかげを

井口 三代(七三才)

小雨の夜鳴き鳴き渡るほととぎす
 朝顔は早くも咲くや垣根越し

田中 祐男(創生苑)(六七才)

 

 
  短歌
 
 

移り来しホームの庭に梨の木が
  ありて香ぐわしき花咲きいでし
若き日に求めし宗教の書のあれば
  卆寿の今も虔(つつ)しみて読む
忙(せわ)しき世を生きて老いゆく吾身なれ
  四国遍路も叶うなき夢

吉野 久米(九三才)

目一杯鳥の鳴き声協和して
  時計の針の進まぬことよ
ザブザブと湯気の間より顔見えぬ
  ふらつく程に温まりける

仙波 艶子(八〇才)

梅雨空にアプランドルへ移り住む
  残されし犬胸にいだきて

林 晴美(七三才)
六月入居致しました。どうぞよろしく

 

 
  時事川柳
 
 

嫁もらい料理の術に躾け褒め
パートさん今日は来る日と嫁掃除
食材を疑い食べる味の無さ
七光り看板もいま艶にぶる
国宝の古稀のお遊び艶のもと

  原田 啓子(八六才)

 

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