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70歳以上の機関誌「銀杏」
特別インタビュー  
モンゴル国の概要
面積:156万7,000q2
人口:245万人(ハルハ族などから成る多民族国家)
首都:ウランバートル
宗教:仏教など
政治:1992年2月、社会主義体制から移行し、民主制に移行。
新憲法を制定し、国名を「モンゴル国」に変更
言語:モンゴル語
通貨単位:トゥグリク(Tg)。   100円は約900Tg。
  もともと民族として日本ととても近い国モンゴル。近年、大阪や成田から直行便が飛び、観光人気も高まっています。日本にとって親しみのあるモンゴルを知るために大使館を訪ねました。二等書記官、L・ダワージャルガル様にお話しいただきました。  
     
 
 遊牧民のお隣さんは遠くて、やっぱり遠い?
 
     

感謝の花束をダワージャルガル様に渡される岩城祐子施設長  日本では都市に人口が集中しています。首都ウランバートルでもその傾向は同じですか。
 はい。現在、モンゴルの人口は二百四十五万人です。その三分の一にあたる八十万人がウランバートルにいます。大都会ですから、アメリカンドリームならぬモンゴリアン・ドリームを求めてやってくるのでしょうね。
 一方で遊牧人口は毎年減ってきてはいるのですが、家畜の数は減っていないので一定の数字に止まると思います。以前の社会主義時代の遊牧は組合式でしたが、今は民間に戻り、すべて自分のものになりました。だからある程度の数字を保っているようです。家畜数は現在、三千二百万頭。そのうち羊は千六百万頭、山羊は千二百万頭、馬・牛は二百万頭、その他フタコブラクダ、ヤクなどがいます。
 以前、モンゴルでは「農業をやらない」「土を掘ることはいいことではない」といわれていたと読んだことがありますが。
 昔は確かにそうでした。宗教はチベットのラマ教が伝わり、また(民間信仰の)シャーマニズムが強かった。この二つが合わさったような宗教で、モンゴル人が神から与えられたのは家畜であって土を耕すようなことは許されないと考えられていたのです。農耕は中国人に与えられたこと、魚を取ることは漁業をやる民族に与えられたこと、だったのです。ですから、農業をする人は「格が下」と見られていました。
 現在は都会化・近代化が進み、社会主義のころから農業を盛んにやるようになりました。一九五九年に、モンゴルでは農業開発の大キャンペーンが行われ、穀物を作り始めました。もともと、主食は肉とパン、うどんなどでした。うどんの原料の小麦粉は中国やロシアから入れていたので、それを自分の国で作ろうということになったのです。あっという間に自給自足となり、輸出するまでになりました。
 一九九○年に市場経済化し社会主義が崩壊すると、農業は落ち込んでしまいました。計画経済で、ロシアから安いガソリンや肥料などが入っている間は、輸入より国産の方が安かったが、市場経済移行で競争力を失った。また、協同組合が解体したわけですから、機械が老朽化しても、大型のコンバインなどを小さな農家、個人で維持できなくなり、使えなくなってしまったのです。昔は百万ヘクタールあった農地が今は二十万に減りました。モンゴルは気候が厳しいため、一ヘクタールから一トンくらいの作物しか取れません。そのため、現在は三十%が自給、七十%は輸入です。
 モンゴルの産業を分けると、大きく四つに分けられます。一つ目は伝統的な畜産業です。二つ目はそれらを加工する軽工業。たとえば、皮をなめして作る革製品、特にカシミアはお金になります。食肉業も含みます。
 三つ目は付加価値の高い金などの鉱業です。地下資源が豊富で、金は年間十四トン。銅も採れます。エルデネトという町では、一九七○年代から当時のソ連から技術協力を得て、鉱山町になりました。世界でも十の指に入る規模です。その他石炭、最近では石油も発見されています。ただ、モンゴルはインフラ整備が遅れている。人口が少ない点で課題は残っていますが、将来性は高い。
 四つ目は観光です。現在はGDPの六%ぐらいですが、ついこのあいだまでは一%にも満たなかったですね。ずいぶん観光に力を入れるようになり、市場経済化の中で手っ取り早いビジネスとして多くのビジネスマンが参入してきています。今のネックは飛行機ですが、日本とは今年の四月、成田から飛ぶようになりました。一九九四年から大阪から飛び始め、夏の観光時期、日本から六千人くらいだった観光客が今は、八千〜一万人になりました。
 広い国ですね。
 国土は百五十六万平方キロあって、日本の四.四〜四.五倍あります。人口密度は一平方キロ当たり一.五〜一.六人程度。オーストラリアと並んで世界一低いです。地方では、特にゴビ砂漠は密度が低いですよ。遊牧民の“お隣りさん”は三十キロ先なんてことがあります。それくらいだと、「すぐそこ」という感じです。我々も道を尋ねると、よく「指先を見なさい」といわれます。地元の人に聞くと「近いよ。すぐそこそこ」といわれるのですが、その指先がちょっと上を向いていると、ゆうに百キロは行かなければならないし、指が少し下がっていると、まあ、三十キロだなという感じですよ(笑い)。
 海抜はどのくらいありますか。インタビュー風景 左から島様、岩城祐子施設長、永田様の皆様
 中国、ロシアにまたがるアルタイ山脈(西部)で四千二百〜四千三百五十四bです。一番低いところで五百、平均すると九百b。このように海抜が高いですし、隣りがシベリアですから北極からの空気が入ってきます。年間を通してみても、月の平均気温は半年がマイナスです。夜と昼との気温差は十〜十五度。十月からマイナスです。十二月と一月は平均マイナス二十度になりますよ。
 暖房の仕方は都会と田舎とで違います。都会でも二つに分けられます。まず、アパート。こちらはセントラルヒーティングです。発電所の余熱を引っぱってきて、蒸気で水を温めています。ただ、地方からおおぜい人々が移り住んでくるので、アパートが足りていません。もう一方はゲル(組立・解体が簡単な、木とフェルトでできた移動式住居)。ウランバートルではゲルに住んでいる人が人口の半分いますが、そのゲル地帯では夏場は薪、冬場は石炭を使っています。
 地方は家畜の糞。夏は牛と馬の糞で、冬は羊の糞を使います。遊牧民は羊を五百頭くらい飼っています。夜、フェンスに入れられている羊が糞をしては踏み固めていくので、たくさんの糞の層ができあがります。糞に窒素が含まれているから温かく、カイロのようになるわけです。糞があまり多くなるとそれを乾かして燃料にします。湿気も含み、燃やすと長持ちするんですよ。牛や馬の糞はすぐに燃えてしまうので、夏場に使うわけです。

 

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