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70歳以上の機関誌「銀杏」
特別インタビュー  
カナダの概要
面積:998万ku
人口:約3,100万人
首都:オンタリオ州オタワ。
  10州と3の準州から構成される。
首相:クレティエン氏
言語:英語とフランス語が公用語。
通貨単位:カナダ・ドル(1ドルは約76円)
  自己主張と協調の精神を基調とする多文化国カナダ
カナダは日本人の海外旅行先として根強い人気がある国です。またシルバーヴィラと創生苑では、毎年ケベック州から留学生を迎えて英会話教室を開いたり秋田県岩城町にケベック料理のレストランを開くなど、両施設は特にケベックとのつながりが密接であることから、カナダについて教えていただくことにし、同国大使館の広報官・金尾紀久枝様にお話をうかがいました。
 
     
 
  
 
     

 先住民族の権利を保障すると同時に、海外から積極的に移民を受け入れる

Qカナダは広い国で、北は北極圏まで国土が広がっています。先住民族の問題などで頭を悩ませておられるのではないかと思います。また、移民をおおぜい迎えていることで公用語も英語とフランス語であり、行政上苦労が多いのではないですか。

 今後も移民受け入れや多文化共生の手本

Aカナダは多文化主義に基づき積極的に移民を受け入れており、その数は年間約二十五万人に達しています。カナダの人口が約三千万人ですから比率は一%弱になります。いろいろなチャレンジがありまして、こうした人たちをどうやってカナダの社会に溶け込ませていくか。雇用の問題もありますし、公用語の教育もしなくてはいけません。公用語は英語とフランス語があり、公用語法という法律によって、政府のサービスはすべて二言国語で提供しています。コストはかかりますが、多文化はカナダにとってメリットになるという考え方で、多文化主義を導入し、また、二つの言語を公用語としているのです。一九九九年四月に新しくヌナブト準州ができました。ここはイヌイットが三十年くらい、連邦政府と交渉を重ねて自治政府のような形で手に入れたのです。先住民に対する配慮も政府の優先事項の一つです。

Q産業ではハイテク産業に力を入れておられますが、同時に畜産・農業、漁業にも予算を多く向けておられると思います。ケベックの方から「カナダはアメリカよりも農業政策が進んでいる」と聞いたのですが、カナダの農業政策はどのようなものですか。

Aカナダは資源が豊富ですから、農業を含めて資源を生かした産業がもともとありましたが、今はだんだんサービス業、製造業、ハイテク産業にシフトしてきています。

Q私は以前、製紙会社に勤めていました(増田)。カナダ、特に東のケベック州は製紙ビジネスが盛んなようですね。西のブリティッシュ・コロンビア州やアルバータ州にも製紙工場が多く、非常に親しみがあります。残念ながらカナダには行ったことがないのですが、冬はずいぶん寒いのでしょうね。

Aそうですね。人口の約八割がアメリカとの国境から二百キロb以内に住んでいます。冬の寒さは厳しいですが、カナダ人がよく言っているのは、家の中は暖かいということです。セントラル・ヒーティングが完備されています。逆に彼らからすると、冬は家の中では日本の方が寒いと言っています。 又、先住民族のイヌイットは何千年もかけて、地球上で最も過酷な気候にうまく適応し、生活しています。

Qイヌイットの方に聞いたところでは、アメリカのインディアンとイヌイットとでは、同じ先住民でも大きな違いがあるというのです。イヌイットは世界に分布していて、彼らはイヌイット同士では争わない、部族間で争いがあるインディアンとはそこが違うそうですよ。

A先住民族は昔からの伝統を守っていて、土地にあった智恵が受け継がれています。寒い地方でどう生活していくかという智恵があります。カナダの多文化主義というのはそれぞれの地の豊かな部分を残していこうという主義です。

Q昔「エスキモー」という言葉がありましたが、今は使ってはいけないのですか。

Aカナダ政府は差別用語とみなし、使ってはいません。エスキモーには「生肉を食べる人」という意味があるのです。彼ら自身が、自らを「イヌイット」と呼んでいるので、政府もそう呼んでいます。「イヌイット」とはイヌイットの言葉で「人間」という意味。ただ、アメリカでは今でも「エスキモー」を使っています。同じ民族ですが、アラスカでは「エスキモー」と呼ぶわけです。 Q日本人も刺し身が大好きで生魚を食べますから、生肉を食べる人といわれても差別とは思いませんが、その民族が呼んで欲しくない呼び方をするのは礼儀に反するのでしょうね。ところで地図を見るとカナダ国土の北の広い地域はノーザンテリトリーと書いてありますが、

Aカナダは十の州と三の準州からなる連邦制をとっています。三つの準州は一番太平洋側にあるのがユーコン準州、その隣がノースウェスト準州、ハドソン湾に面したところがヌナブト準州です。州と準州との違いは、州の方が自治権といいますか、地方分権によりたくさんの権利を持っています。アメリカも連邦制ですが、カナダの州にはそれぞれ首相がおり、アメリカの州知事より権限があるのかなぁと思います。アメリカの五十州に比べ、カナダの場合は十しか州がありませんから比率的な面で重みが違うでしょうし、憲法でも違いがあります。カナダでは刑法は連邦の権限で、民法は州の権限、一方アメリカは刑法も民法も州ごとになっています。準州は連邦政府の規則に準ずることもあります。

Qアメリカは州によって死刑制度があったりなかったりしますね。

Aカナダには死刑制度はありません。まぁ、細かい違いはありますが、どちらの国も州の権限が強いですね。カナダでは、教育でも福祉でも州に責任がありますから、それぞれに教育省が設置されています。州ごとに教育のカリキュラムが変わってきますし、義務教育の始まりや終わりが少しずつ違っています。また、日本の文部科学省のような全国組織の教育省はありません。カナダ連邦が責任があるのは外交、防衛、貿易と刑法等ですね。

 

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