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A日本人からみるとアメリカとカナダは非常に似ているという印象はあると思います。ただ、カナダ人のアイデンティティーというのは「アメリカ人ではない」というのが共通したものなんですね。人権に対する取り組みも世界をリードしていて、オランダ・ハーグにあるICC(国際刑事裁判所)の設立に関してもカナダが推進役となって進め、初代の裁判長はカナダ人が就任しています。対人地雷撤去の取り組みでも率先していますし、カナダは人権に対して優しく、そういうところに価値を感じています。外交では独自の政策があり、アメリカとは異なっています。たとえば先のイラク戦争には参戦しませんでした。アメリカとは隣国で深いつながりもありますが、首相も国民もアメリカを支持しませんでした。カナダはカナダ、ミドル・パワーとして独自路線をとっています。政治では一時、国家の財務状況が悪かったときがありましたが、それを改善するために歳出をカットし、行財政改革を進め、今では財政赤字のない、G7で最も良い財務状況の国になったんです。 Q以前ケベック州が独立を目指すという話を聞いたことがありますが、 Aいくら地方分権が進んでいるといっても、カナダ人であるというアイデンティティーはありますから、まったく問題ありません。ただケベック州はどちらかというと独立心が強くて、九五年に(独立に関する)住民投票をしました。しかし一%の差で独立賛成は否決されその機運はずいぶん収まってきました。去年の州選挙でも分離独立派が負けてしまいました。ケベックが独立するということは現実的ではないでしょうね。 Q以前、フランスのドゴール大統領がケベックについて演説したと聞いていますが。 Aその演説については存じ上げませんが、ケベックがフランス語やフランス的文化を守っていくことは、連邦の中で保護されています。 Q(自分たちのアイデンティティーが)認められたということで、州民が安心したという面があるのでしょうね。それに、独立すると経済的に合わないという感覚が強くて、権利を主張しながらカナダの傘の下で暮らしたほうが有利だという意見が大勢を占めているのでしょう。住民感情はまた別のようで、イギリス女王の誕生日を祝う祭りで、フランス系の人たちは横を向いているんですね。それはとても顕著です。でも違和感がない。 Aアメリカは「メルティング・ポット」と呼ばれ、いろいろな人種を溶かして一つの国になっているのに対し、カナダの多文化の特徴として、カナダは「ミックスサラダ」あるいは「モザイク」といわれています。それぞれの文化・特徴がサラダの素材で、それを一つにまとめているのがカナダというドレッシングであるというたとえなんです。アメリカとはまったく違う多文化社会という特徴があるのです。その特徴の一つがフランス語圏の文化を持つケベックです。 Qカナダのほうがアメリカに比べてラテン系の主張が強いのかなぁと思います。 A歴史的な背景が影響しているのかもしれませんが、カナダはもともとフランスが先に領土とし、その後でイギリスが来て、パリ条約によってイギリスが主権を得たわけですね。その後も、ケベックの人たちはケベック法というイギリスの法で、イギリスから宗教や文化、言語などの自由を保障されたんです。 Q昔カナダやオーストラリアには英国の総督がいたそうですが、ましたが、今もいるのでしょうか A今もいます。実際にはイギリス人が来るのではなく、カナダ人がイギリス女王から任命されています。今総督をしているのはエイドリアン・クラークソンという女性です。カナダで初めての外国生まれ、香港出身の総督です。子どものとき、カナダに移住してきました。ある意味、カナダの多文化の象徴といえます。 Q総督と首相は違うのですか。 A政治的な権限が違います。行政は首相が行い、総督は象徴的な存在です。カナダは日本やイギリスと同じ立憲君主の国です。儀式として総督が首相を任命しますが、実際には首相は選挙や議会で選ばれます。 |
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