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70歳以上の機関誌「銀杏」
時事討論
     
 
  有事関連法制、成田空港問題に見る私権の制限について
 
 
島 健二(七八才)
 
     

 昨年六月、有事関連三法案が成立したのに加えて本年三月九日、これらを補完する国民保護法案等七法案が閣議決定、国会に提出されて今国会中の成立を目指しています。日本有事に備える法制がこれで整うことになり、日本の安全保障にとって画期的なことです。
 四半世紀前の福田内閣の時に始まった有事法制検討がここまで遅れたのは政治の怠慢と無責任が原因で、旧社会党及び共産党、一部マスコミ等が「戦争準備の法律」「人権が制限される」などと反対し続け、歴代自民党政権も政治的摩擦の回避を優先して先送りしたと昨年六月の読売新聞社説は論じています。
 反対論議のうち、「戦争準備の法律」はナンセンスですが、「人権が制限される」は主として「私権の制限」の問題で、戦前の軍国主義への過度の反発からこれまで新聞の論調は、決まって個人の私権の保護に偏り過ぎ、国家のため、公共のためが不当に阻害されて来ました。新聞論調の変化は機が熟したのを示すもの、一昨年四月十六日閣議決定されながら結局は継続審議となった同法案が、昨年六月ようやく与野党合意に達したのです。有事に際して、国が自衛隊の出動等について迅速な意思決定をし、国民が必要な範囲内で協力するのは当然で、過剰な「私権の保護」を理由に又も継続審議に持ち込んではなりません。民主党の良識ある協力が期待されます。
 成田空港についても同様のことが云えます。新滑走路は、当初計画の二千五百bを大きく下回り二千百八十bに止まり、ジャンボ機等大型機は発着できず、大量の燃料を積む中型機の遠距離便も離陸できないそうです。開港から二十数年、成田空港は執拗なまでの反対運動に阻まれ続けました。「両親が汗を流して開墾した田畑を捨てられない」という農民に「建設の本音は軍事利用だ」とする過激派が結合して反対運動が展開されたのです。公共利益を無視するエゴと、為にする過激派運動は、わが国最大の国際空港、最大の貿易港の成田空港を妨害する国民的迷惑です。
 この反対運動のためにこの間に受けた損害は測り知れません。成田空港は当然、国際的ハブ空港になる筈でしたが、反対運動のために何十年もモタモタしている間に、韓国やシンガポールに国際的ハブ空港をもって行かれ、成田はローカル空港に成り下がりました。正に国辱的です。経済的損失も測り知れないでしょう。反対運動を展開した者たち、これを排除できなかった政府や千葉県が国益を損ねた罪は極めて大きいと云えましょう。
 国家のため、公共のための利益には、ある程度までの私権の制限が必要で、これに協力するのは国民として当然で、国家権力の横暴とかを論じるのは別問題です。
 成田空港での失地回復のため、羽田空港の国際化が進められようとするのに、千葉県が又々反対するのはもっての他の恥知らずです。
 公共利益を阻害する「私権」を振りかざす反対戦術に対抗する法的手段が必要でしょう。

 

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