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70歳以上の機関誌「銀杏」
シルバーヴィラ向山での研修を通して
     
 
  
 
 
防衛医科大学  岩城 弘隆
 
     

岩城 弘隆様 今回の研修を通して一番感じたことは、お世話をするということがどんなに大変かということである。シルバーヴィラ向山にはさまざまな方がいらっしゃって健康な方も勿論いらっしゃるが、一方で要介護度5までの一般的にいう痴呆の方や身体が弱っている方もおられる。其の中で私たちは後者のような方たちとどのように接すれば円滑なコミュニケーションがとれるのかという問題にぶち当たった。
 例えば、移動する際付き添いをするときにこちらのペースが明らかに速かったり、食事を口に運んだりしてもまだお口の中に食べ物が入っているのか食べてくれなかったりなど自分たちの思い通りに事が進まず苦戦した。なかでも大変であったのは入居者の方の入浴支援である。シルバーヴィラ向山の方のご好意で普段やっているような仕事をやらしていただいたのであるが、内容は想像以上にハードであった。入居者の方をシャワーにお連れするにももちろん細心の注意を払ってお連れしなければならないし、足の不自由な方は二人で体を持ち上げなければならない。頭を洗うにも水が耳に入らないようにしなくてはならないし、お風呂に入れてあげる際には、肩までつかってもらうため自分たちも一緒に風呂につかるなどしながらした。なかでも一番印象的であったのが、恐怖を抱かせてしまったのか体を触れるのにも悲鳴を上げてしまってどうしたらいいのか困ったりした。そんななかで実習に来ていたみながびしょびしょになりながらがんばったと思う。この入浴体験を通してわかったのはこのような介護に必要なのは誠意と体力だということだ。
 そのような介護体験を通してシルバーヴィラ全体の雰囲気がとても良いこと、そして職員の方の入居者の方に接する態度がとても温かく会話を楽しんでいて、入居者の方もとても楽しそうなことに強く感動した。でもこのような関係は受動的に得られたものではないことは私たちの体験から明らかである。自分たちは入居者の方たちと、無意識的であるかもしれないが、なんらかの違和感を覚えながら接していたかもしれない。しかしそれではだめなのだ。そうではなく我々と基本的には同じなのだという意識を持った上で積極的に関わっていくことでこのような結果に結びついたのだと思う。
 今回の研修は忙しく大変であった一面もあったが密度が濃く、皆貴重な体験ができてよかったと言っていた。将来我々は医者として医療現場に関わるのにも様々な方と接する。そのときにもどんな対応をしていけばよいのかということにも役立つと思う。そういった意味でもとても有意義な研修であった。このようなより生の現場が体験できるような研修をさせていただいたシルバーヴィラ向山の方にこの場をお借りしてお礼を申し上げたい。

 

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