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70歳以上の機関誌「銀杏」
食欲がなくなるということ  
 
 
  
 
 
橋本 多賀子(看護師)
 
     

 夏になると食欲が低下する方がふえます。暑さや、湿度で体の中の水分が失われて、体温を一定に保つために汗を出したり、血液が全身を循環して酸素や栄養を運ぶ生命維持の機能がバランスを欠くのです。暑さでのどが渇きますから水分をとる、冷たいもので胃液が薄められ食欲が起こらない、したがって食べてもいい消化をしてくれません。胃は濃縮された胃液に整えられて始めて脳が「食べたい」という指令をくれます。
 食欲が減るいま一つの現象に、加齢と共に食欲低下が訪れることです。疫学的にも生理的変化とみられている現象です。肉類や油濃いものをいつの間にか摂らなくなった頃に始まるようです。中・壮年の体重増加が過食によると考えられて来たのですが、この時期はすでに食欲低下が始まっているので、今日では運動不足による脂肪の蓄積をその原因とする見方が一般的です。入院中の老年の患者様からこんな会話を聞いて衝撃を受けたことを覚えています。「息子が美味しいものを食べに行こうと云ってくれるのだけれど、入れ歯じゃ何食べても同じなのよ」 自前の歯で食べている私にとっては理解の及ばないことでした。歯も、味覚・嗅覚も食欲につながる大事なこと、幸い私たちは、「味わう」という高度な感覚を持ち合わせています。よく食べて「美味しい」を噛みしめながら、唾液をいっぱい出して自身の食欲を維持しましょう。

 

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