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70歳以上の機関誌「銀杏」
教育について
     
 
  
 
 
増田 次郎(七五才)
 
 
 

 親が子供に過剰な期待をかけることの害悪が目立ちます。昭和初年大学生は大変なエリートで、大学への進学率は非常に低かったと聞きます。ところが現在は大学は遊園地だという悪口が囁かれています。入学しさえすれば必ず卒業できます。
 大学を出ることが人生の目的であっては困ります。しかし人生の目的を子供に自覚させるのは容易なことではありません。私自身大学に入るとき、難関といわれる理工学部を出ていれば飯が食いやすかろう、女の子にもてるだろうという恥ずかしながら誠にイージーな考えで自分の将来を選択しました。今では大いに反省しています。
 私の在学時も麻雀荘に入り浸りで、教室に出てこない連中がいました。でも卒業後この連中の中にいつ宗旨替えしたのか立派な研究者に変身した奴がいます。現在の大学生は入学試験が楽だし、マンモス教室でまともに授業を聞いていない者もいるらしい。授業を聞かないなら雀荘にでもいればよいのに、出席して携帯でメールを交換したり、友達と雑談をしたりしている。中味が何もないのに大学を出たからホワイトカラーになろうとするが、就職は難しい。苦労して就職した挙げ句リストラで失業者では誠に悲しい人生。高い学費を払って一体引き合うのでしょうか。
 今工業高校は人気が全くないようです。私はかつてわからない科目を工業高校教科書で勉強しましたが、わかりやすくしかも実務的な知識はばっちり盛り込まれていました。研究職になるならいざ知らず、製造業の工場現場技術者なら高卒の知識で十分だと思いました。私が大学で得たものは、語学であり、一般教養であり、大学卒のプライドを汚さないようにという「自覚」だけでした。
 親が何としても自分の子供を大卒にしたいと考え多額のお金をかけ、塾に通わせ、家庭教師をつける。勉強嫌いな子供にしたら迷惑なことでしょう。嫌いな子供に勉強を強いても成果は上がらず、ついには切れてしまう。
 子供は全てその子供なりの適性を持っています。算数の得意な子供、体育の得意な子供、工作の得意な子供など適性は皆違います。誰でも自分の適性に向いた職業に就きたいはずです。もちろん算数がいくら嫌いでもお金の計算ができなくては困ります。国語が嫌いでも新聞も読めなくては社会生活を営むことができません。しかし中学の教科を全部理解できれば、社会生活には問題ないはずです。
 天は人の上に人を作らずといいますが、それは身分の話。理解力や体力は決して平等ではありません。学者になる人と同じ勉強を技能者を目指す人に押しつけるのは現実的ではありません。従来の画一的な教育制度を見直し、親も考え方を改めるときが来たと思います。指導者がいなくても組織は直ぐにはストップしませんが、農業でも工業でも商業でも技能者がいなければ成り立ちません。エリートはごく少数いればよいのです。子供の身の丈に合った教育を受けさせましょう。

 

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