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70歳以上の機関誌「銀杏」
宗教とテロ
     
 
  
 
 
増田 次郎(七六才)
 
 
 

 世界各地で毎日のようにテロが起こり、そのたびに多くの人命が失われています。そしてその大半に宗教がからんでいることが報道されています。
 現在テロが最も頻発しているのは、イラク、アフガニスタン、チェチェンおよびパレスチナなどの中東地域です。そしてこの地域はイスラム世界とも呼ばれています。イスラムとはアラビア語で平和を意味すると聞きました。イスラム教の信者(ムスリムといいます)は全世界に十二億人いるそうです。これだけ多数の人々が信仰しているのですから、もちろん立派な宗教なのでしょう。
 しかし残念ながらテロのほとんどに、イスラム過激派の人がかかわっているようです。もちろんこの過激派はムスリムの中のごく少数の人たちで構成されていて、多数のムスリムとは異質の集団のようです。過激派はイスラムに限ったことではなく、仏教にもオウム真理教のような異端者がいて、かつて日本で大変なテロを起こしたことは皆さんも覚えていらっしゃるでしょう。
 宗教は本来不幸な人間を救うためにあるのだと私は思っています。私はイスラムの教義には全く無知ですが、仏教やキリスト教と同じように、地球上に愛と平和をもたらすことを目指しているのは間違いないと思います。それなのにその過激派は、どうして平和をもたらそうとしている善意の人々を人質にしたり、殺害したりするのでしょうか。
 イスラムでは豚と犬は不浄な動物とされているそうです。日本の仏教でも昔四つ足を食べることを嫌ったと聞いています。お坊さんは魚を食べてはいけない。酒を飲んではいけないと厳しい戒律があったようです。中には妻帯を禁止する宗派もあります。宗教とは実に難しい、不自由なものだといったら叱られるでしょうか。
 どの宗教でも過激派に共通しているのは、他の宗教・宗派に対し寛容でないことだと思います。オウム真理教の場合、信者でない人々を殺すことが、麻原某によって教義として是認されていました。このため松本と霞ヶ関でサリン事件を起こし、多数の人々を殺したのです。自分の信仰する宗教だけが正しく、それを信じない者は人間として生きる資格がないというのは、宗教者の思い上がりです。そういう狂信者こそまさしく生きる資格のない者ではないでしょうか。
 私自身は宗教を持ちません。しかしムスリムでも、クリスチャンでも、仏教者でも尊敬しています。昔から日本人は宗教心が乏しいと言われてきました。子供が生まれたら神社、結婚するときは教会、死んだらお葬式は仏式と全く一貫性がありません。しかし日本では宗教同士のいがみ合いは希にしか聞きません。信仰上の問題で人が殺し合うより、宗教心が希薄な方がずっとよいのではありませんか。世界中でほかの宗教に寛容になり、殺し合いがなくなることを祈る次第です。

 

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