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地唄についてその音楽的特徴と云えば歌は歌詞の一音節毎に旋律を多音符で表現して、装飾の多い節回しを持つものが多く三味線を三絃と呼び中棹を使っている。
演奏では柔らかい味の音色が高く評価され、弾き歌い形式が一般である。
演奏形態は三絃二挺によるものと、筝・尺八・胡弓などと合奏する三曲合奏が多い。
「八重衣」この曲は生田流京風手事物を代表する曲で石川勾当の作曲になり「融」(とおる)「新青柳」と共に「石川の三つ物」の一つと呼ばれている。
『君がため春の野に出でて若菜摘む我が衣手に雪は降りつつ』を筆頭に「小倉百人一首」から「衣」を詠んだ和歌五首を選び、四季の順に配列している。五首の中でも『み吉野の山の秋風小夜更けてふるさと寒く衣うつなり』は砧を主題としているか、これをうけて手事では三絃と筝の掛合いが素晴らしく器楽的にも見事な砧の表現となっていてこの曲の中心の手事と云われている。又『きりぎりす鳴くや霜夜の狭筵(さむしろ)に衣片敷き独りかも寝ん』の歌詞を受けての手事では三絃と筝の効果音で虫の音が面白く表現されている。
この様に京阪で生れ育った大曲であるが「融」「新青柳」と共に九州の地に伝えられてここで新たに又独自の美学を反映し音楽表現も益々発達して行ったのである。その流れを汲む音楽家達を「九州系」と呼んでいるが地唄三絃の表現に重厚で深い味わいに満ちた独自の境地を開き歌についても細心の心配りが凝らされている。
「冬の曲」この曲は筝のための名曲で幕末期名古屋を代表する筝曲家二世吉沢検校が作曲した筝伴奏歌曲であり、歌詞は「古今和歌集」から引用して「四季」を題材にした「古今組」と呼ばれる作品群(春夏秋冬)の一つである。
初冬から年の暮に至るまでの四季の移ろいに音楽の流れを重ね合わせている。
『龍田川錦織りかく神無月、時雨の雨を経緯(たてぬき)にして』
『白雪の所も分かず降りしけば、巌にも咲く花とこそ見れ』
『みよし野の山の白雪踏み分けて、入りにし人の音信(おとずれ)もせぬ』
(手事)
『昨日といひ今日と暮して飛鳥川、流れて早き月日なりけり』
以上四つの歌詞を組み合わせた点では「組歌」の延長線上にあるが、拍子数が定まっていないこと、古典的、形式的束縛から解放された自由さなどが魅力である。
雅楽の筝に盤渉(ばんしき)調という調絃がある。これを基にしたといわれる「古今調子」は格調も高く、鮮烈な印象を与えてくれる。後に京都の松阪春栄が手事と替手を補作して以来華やかな響きを際立たせた手事物として有名になり、古今組の中でも技巧の点で最も難易度の高い名曲として知られている。
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