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70歳以上の機関誌「銀杏」
特別インタビュー「メキシコ大使館に聞く」
     
 
 古里は瀬戸内
 
 
伊勢本ヲトク 様(97歳)
 
     

伊勢本 ヲトク様 戦争? 何も覚えていません。昔の事は全部忘れてしまいました。あんな辛い事を覚えていたら、とても生きていく事が出来ません。
 古里は広島です。福山だか、尾道だかよう覚えていませんが、とても綺麗な里山でした。海があり山があり、清き流れの小川があり、黄色い菜の花がいっぱい咲いていました。いつも友達と遊んでいました。やさしいお母さんが何時もそばにいました。可愛い弟がいました。弟は、とても頭がよく天才でした.その弟とお母さんと私は、お弁当を持って近くの公園に遊びに行きました。家から少し北のほうに栗林公園があります。(栗林公園は四国高松ですから、ヲトク様の記憶違いか)それはそれは、とても綺麗な所ですよ。
 弟がいたんです。とても頭がよく天才といわれていました。あの優しい弟が戦争に行ってしまったのです。弟は機関銃部隊として南方に行きました。優しい弟は人を殺せるはずがありません。何とかして弟の命を守りたい無事で帰って欲しいと思い、母と二人で千人針を作りました。一人でも多くの人に縫い玉を作ってもらいたくて、街角に立ってお願いをしました。それでも弟は帰ってきませんでした。弟は機関銃部隊ですから軍隊の一番前を進んでいました。弟の戦死を知らされて母は泣きました。私も泣きました。二人で気違いになるのではと思うほど泣き明かしました。 終戦後、弟の友達からその時の様子を書いた手紙が届きました。それは今も私の宝です。

 

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