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70歳以上の機関誌「銀杏」
時事討論  
 
 
  おごれる者久しからず
 
 
島 健二(80歳)
 
     

 この夏から秋には、台風やらハリケーンが続いて発生して各地に甚大な被害をもたらしました。
 日本でも九州や四国には続いて台風が襲来して多大な被害を及ぼしましたが、アメリカには一ヶ月足らずの間に、巨大なハリケーン「カトリーナ」と「リタ」が相次いで襲来し、前者は、ルイジアナ州ニューオーリンズ市に壊滅的なダメージを与え、後者は、西隣りに当るブッシュ大統領の地元テキサス州に上陸して、レイクチャールス市及びガルベストン市他に数兆円に及ぶ被害を与えたと伝えられています。なおニューオーリンズ市の一部は「リタ」の襲来のため、再び水没したと報ぜられ、累積被害は莫大な額に上ると思われます。さらに残念なことには、かつてない程の自然災害に見舞われたニューオーリンズ市では略奪、強盗、強姦等の人災が続発したと伝えられました。宗教心が厚いアメリカ人社会に何故こんなことが起きたのでしょうか?
私は特に親米的ではありませんが、アメリカ人の正義感、愛国心、宗教心、積極行動性には敬意を払っていますし、日本の同盟国として信頼を寄せています。こんな情けない醜態を見せてほしくないのです。
 ここで思い起こされるのは先年話題を呼んだ京都議定書です。地球温暖化現象が、また赤道付近で起こるエルニーニョ現象が、近代文明社会が排出するCO2、フロン等の温室効果ガスによるものとする学説が一〇〇パーセント正しいか否かは別として、無縁ではない筈です。地球温暖化を少しでも防止しようと各国が集まって対策を協議して京都議定書の採択をまとめた際に、これらのガスの最大の排出国でありながら、アメリカが異を唱えて離脱したことです。
 京都議定書は先般、ロシアの参加により、アメリカ抜きで発効しましたが、影響の大きいアメリカの少しでも早い参加が望まれているところです。
 今回のハリケーンによるアメリカの被害は、天が与えた警告のように思えてなりません。アメリカは、自国の利害関係に拘泥しないで、各国に歩調を合わせて、早急に参加すべきではないでしょうか? 
 平家物語巻の一に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし……」とあります。
 最大の武力を持つ唯一の超大国であるアメリカは、国連における各国の反対を押し切ってイラク戦争に踏み切りました。また地球温暖化防止対策としての京都議定書にも異を唱えて、最大の温室効果ガス排出国でありながら離脱をしました。超大国を看板にした専横と云わざるを得ません。アメリカは唯一の超大国であるが故に世界の模範的なリーダーでなければならないのではないでしょうか。
我らが同盟国アメリカは、「おごれる人も久しからず」となってほしくないと思います。

 

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