母の日や老いたりといへ尚母ぞ 柿熟れて空の蒼さの野路しずか 吉野 久米 早朝に零余子(きなご)採る人輝きて 掌(て)にふたつ乗る佐渡柿のいじらしさ 干し柿が港の店にならべられ 藤田 寛子 戸を開けてさしこむ香り金木犀 あしたばや生々と伸ぶ子供達 はげいとう赤く燃えたつ我が青春 戸木 喜代人 宿題に追はれし昔蝉しぐれ 庭先に無人スタンド柿ならぶ 朽津 恭子 持ち慣れぬ杖にも慣れて秋の風 小林 智恵子 招かれて今日の嬉しき菊膾 長沢 菊枝 去年(こぞ)はまだ夫はこの世に秋の星 永田 和子