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70歳以上の機関誌「銀杏」
特別企画「若い世代に伝えたい一言」(第五回)
     
 
 神を恨んだことも
 
 
小石沢 年子(97歳)
 
     

小石沢年子様 私はもう年ですから、記憶は混乱してまして、頭の整理はつきません。間違ってお話しする事もあるかもしれませんが、お聞きください。
 私は小学校四年の時に、父の仕事の関係で満州の大連に行きました。父は満鉄関係の病院で事務長をしていたようですが、その当時の記憶はどうもはっきりしません。
 終戦は、どこで迎えたのか多分父の郷里の山梨ではないかと思います。天皇陛下の玉音放送を聞いて涙が止まらなかったことを覚えています。日本人の女として、子供達にこんな思いをさせてはいけない、国家の危うい事を男性だけに任せておいてはいけないと強く思いました。
 記憶の整理がつきませんが、戦後は母親の病気もありずいぶん苦労しました。タイピストの仕事で一家を支えましたが、無理がたたり私自身肺を患ってしまいました。一時ある信仰にこりましたが、だまされてひどい目に合わされました。戦争で人々の心がすさんでいたのでございます。その時は、神も仏もあればこそ、世の中をうらみました。
 私の人生は、理不尽な呪わしい一生と思って来ましたが、私の記憶が薄れるのと同時に少しずつ穏やかな気持ちになりつつあります。それは、亡くなった兄のおかげです。私は子供のころから兄を尊敬しておりました。その兄が今も私を守ってくれています。私は、毎朝兄の位牌を拝んでいます。私にとって、兄が神様であり、仏様です。

 

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