| 西空が朱(あけ)ひと色にそまりたる
うつしみ燃えて道にたたずむ
中庭のひめしゃらのきの肌照れり
かつてその美林を酔ふごとくゆきし
土生 育三
ゲートルを巻きて中3二百三高地
夜間行軍たどりたどりて
戸木 喜代人
風強し落葉寄せ来る屋上に
ひとり歩めば空高くして
雲走る雪の峰々あおぎつつ
くつろぐ宿の窓にもたれて
(旅の思い出)
戸木 登志子
わが室に小包みどかと置かれたり
開くれば子等よりブラウス届く
極まれる齢としなれば一と日一と日
新しき心もて我生き行かむ
吉野 久米
寒空の青さの中にしゃらの木の
小枝は伸びて春の色芽ぐむ
青柳 八重子
老人は体弱れど磨かれし
若き魂秘めて生きてる
戸川 暁子
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