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シルバーヴィラ前の大銀杏も夏姿になりました。 秋は金色の晴れ着、冬は骨太の姿、春はさみどりの薄絹にと装いを変え、人の世の移ろいを黙って見下ろしながら、地に還っては又力強く甦る大自然の正確な営みに毎年新鮮な感動を覚えます。 宇宙の中の一瞬という人の一生ですが、今の高齢者の明治から平成にわたる生涯、これはもう、それぞれに十分ドラマテイックと言えそうです。 この一世紀ほど世界がめざましく変化した時期は、まずないのでは。 防空頭巾で竹槍特訓に明け暮れた頃、液晶テレビの鮮明な画面で,居ながらにして世界を見る日を迎えようとは、誰が予知出来たでしょう。 四季の花々、行事、スポーツ、何を楽しむにつけても、この世代は「平和って素晴らしい!」とまず思うのです。 昨夏、甲子園の優勝校・早実のエースの姿に、人々は忘れかけていた嘗てのこの国の、端正でりりしい若者像を見た思いで感動しましたが、私は「十七才の夏」というこの眩しい季節に輝くすべもなく、戦死した若者達をも思わずにいられませんでした。 尊い犠牲の果てに辿りついた平和を大事にしなければと改めて思いました。 お蔭様で生涯の終幕を安心して過している今、一つ気にかかるのは、昨今の行列ばやりです。 「新名所」やら「スパイダーマン3」に並んでいるのはいいけれど、マスコミに煽られるといとも簡単にブームを起こす人のよさが、いつのまにか「大国」のワナにかかって、懲りたはずの怖いことに又ならないよう、皆で気をつけたいものです。 大銀杏の上に、いつまでも穏やかな春秋が流れ続けるために。
(永田)
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