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70歳以上の機関誌「銀杏」
短歌  
 
 
  
 
     

人の世は一瞬の夢か幻か
   九十八年の重きを思ふ
亡き夫の命をかけし事業これ
   練馬病院に妻吾は来し
              吉野 夫久枝(久米雅号)

モネの画を観たるここちす池の面に
   黄と鵠色の睡蓮ぞ咲く
                  由起 艶子
 
少しずつ行きては休みやすみいる
   老いひとをれば声をかけたし
沼の辺は木木しげりいて人居ねば
   小声に歌う山のまた海の歌
                  土生 育三
 
秋冷の朝の光が矢となりて
   壁の時計をひたと射てをり
                  永田 和子
 
私の秋水のおもてを見ていると
   静かに動くあかい影のあり
                  青柳 八重子
 
夜目しるく浮ける灯籠川波を
   染めつつ光り輝き合へり
夕暮れて湯ヶ野の里はいや晴し
   水の音のみ高く嚮みて
                  黒川 英三

 

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