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70歳以上の機関誌「銀杏」
我が「つり人生」に感謝  
 
 
  
 
 
岩本正巳 91歳 
 
     

手作りの竿を前にご満悦の岩本様(於 居室) 私は、今年91歳になります。
 これまで歩んできた年月を振り返ると言葉には尽くせないいろいろのことがありましたが、つりの楽しさ、面白さ、その醍醐味を知ったことが、自分の人生を支え難関を乗り越えさせてくれたように思い、つりに出会ったことを感謝しています。
 10代の時に、つりの好きな年寄りから、ある日「つりは、いいぞ!」と誘いを受けたのをきっかけに、17歳頃から「つり」に惚れ込んでしまい、「鮒つり」にのめり込んでいきました。
 「つり」には、"礼儀がある""姿勢がある"といわれ、野口五郎という関東、関西を通して全国的な「つり名人」から指導を受けました。指導は大変に厳しく、川づりををしている時に、遠くの方から私のつりの様子を見ていて、私のところまで来て、私の釣り竿の「位置がよくない」、「持ち方がよくない」、「姿勢が悪い」と叩かれることがありました。
 「へら鮒」の場合、1日で5本(匹)未満しかつれなかった時は、つった魚をそのまま川に放って川に返してやることを教わりました。
 つった魚を持って帰る時は、5本(匹)以上の時に限るということは、よくよく教えられました。
 厳しい指導の中で、お陰で「つり」を通して、自然に逆らわないこと、自然と協調していくこと、自然の法則のなかで人生をたのしむこと等、生きる上での基本、原則のようなものを学ばせてもらったことは、貴重な体験であるとともに、人生の大事なことを教えていただいたと今更ながら感謝しています。
 特に、つらいとき、行きずまってしまって、どうしようもない気持ちになった時、つりの体験から、つりを思い出すことを通して「なんとかなる」「必ず道は開ける」という気持ちがわいてきました。ありがたいことだと思っています。
 私の父は、千葉県野田市の近くの出身ですが、仕事の関係で東京の神田に住み、空襲がひどくなると北区王子(現在:豊島)7丁目の荒川の近くに移り住みました。当時、荒川の岸辺にいろいろの会社が並んでいたのを思い出します。
 川を見て育ったことが、つりが好きになったことに通じているかもしれません。
 鮒には、「へら鮒」(からだがペッタンコ)と「ま鮒」(からだが丸い)の二種類があります。
鮒の体長が一尺まで成長するのに、「ま鮒」は、10年を要しますが、「へら鮒」は、3年で大きくなります。
 私は、「へら鮒」を追いかけて東京、千葉、埼玉 茨城、栃木、とつり歩きました。
 夜は、懐中電灯で浮きを照らして、つりをします。「ま鮒」は、身体を半分川底に埋めて冬を過ごします。「へら鮒」は、何かの陰で冬を過ごします。
「つり」の面白さ、醍醐味からするとやはり「へら鮒」だと思いますが、食べる時には、やはり「ま鮒」の方が肉がしまっておいしいと思います。
「へら鮒」は、1年中つりを楽しむことができますので、へら鮒の思い出はいろいろあって思い出はつきません。
 通常、冬は、「長い竿」を使い、夏は、「短い竿」を使います。
 釣り具専門店の「上州屋」に頼んで、海釣り用の竿の「ほさき」の材料をわけてもらい、ごく短い竿を、自分で工夫して何本もつくりました。手作りで作った竿のうち9本の竿を居室に持ってきて毎日ながめては、私のつりの旅を思い出しています。
 シルバーヴィラ向山にお世話になってからは、つりにいくことはできませんが、10代の時から楽しんできたつりの醍醐味、面白さ≠毎日思い出しながら、つりと共に歩んだ人生に感謝の日々を送っています。  (談)

 

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