| 今年の夏は例年とは少し違い夕方になると激しい雷雨に見舞われる毎日でまるで熱帯にでもなったかのようでした。地球温暖化の影響かとも案じておりましたが、そんな夏もいつの間にか爽秋に場所を譲り涼風に一息ついているこの頃です。
さて、自然界のように夏が過ぎれば暑さも一段落という具合には行かぬのが実社会の様です。「偽装」事件もいい加減そろそろ出尽くしたと思っておりましたが、その勢いは収まるどころかむしろにぎやかさを増す一方です。雪印食品の牛肉偽装が発覚したのが平成十四年です。以来、年を追う毎に件数が増えているような気がいたします。最近では「事故米」まで登場しました。これが焼酎や菓子のみならず給食にまで使われていたのには驚愕し、食品偽装の根の深さ、怖さを改めて思い知らされました。
むかし日本各地で活躍した近江商人という集団がありました。「買手良し、売手良し、世間良し」の「三方良し」の家訓で知られています。近江国外での他国行商を本務とした彼らは、行商の先々で信用という目に見えない財産を築いていかねばならず、当事者の売手と買手だけでなく、その取引が社会全体の幸福につながるものでなければならないと、この家訓を肝に銘じ、永く守っていったのだと思います。
偽装の当事者たちはこの「三方良し」の精神を持ち得なかったのでしょう。日々の行動が社会全体の幸福に繋がっているか否かの視点を持ち続けたいと改めて感じました。
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