ばらばらになりても心一つなり 十一月の空の真青さ
絶え間なく巡る季節は冬に入る えにしの人等恙なくあれ
吉野 久米
雲の間をいずる朝日と高高と 孤り身に立つ白富士見交わす
九十一となりたるわれは「育」てよと わが名を付けし父母おもふ
土生 育三
くれないの色にそまりしもみじ葉に 止まりし心我を包みぬ
青柳 八重子
誰かれと身体の不調語りたる 姑の気持ちを今理解せり
来年は着ることありか思いつつ すべての衣類手に通したき
戸木 登志子
栞する楓落葉のひとひらは 夫の墓辺に降りし紅(くれない)
永田 和子