屋上に一人のぼりて富士山の み姿慕い手をば合はせつ
水清き江戸川の辺に生をうけ 可も不可もなき一と世とぞ思ふ
吉野 久米
歩みたし車椅子より降りたるに 庭に白薔薇にほひていたり
保存樹と記す大けやき三本が 並みたちをり空なずるごと
土生 育三
しろき花いちめんに散りし地の上に 今さんぼんの新しき芽ふきたり
青柳 八重子
あおぎ見る青一と色の今朝の空 美しきかな果てのはてまで
時計みつ眠れぬ今宵ながすぎて 眼にも映らぬテレビつけおく
戸木 登志子
日は西にはつか移ろひ糸桜 さ揺るる上に昼の月しろ
永田 和子