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「色違いの金魚」(西 雅寛)

作成者:ウエブ管理人
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『「多くの赤い金魚の中に黒い金魚を入れると、黒い金魚はいつの間にか赤く染まってしまう」。初対面でのこと。変な話をするやつだなと思いながら、噴き出してしまった。発言の主は小説や映画のモデルとなった有料老人ホームの草分け、シルバーヴィラ向山の岩城隆就社長だ。
三菱商事に同期入社し仕事以外の付き合いで仲良くなった。奥さんとの初デートの時は「どんな話をすればいいのかな」と不安そうな顔で同行を頼まれ、三人でスーパーマンの映画に行った。恋人を危機から救う主人公のように女性を気遣う様子をみて、二人を残して安心して帰った。
次はこちらの番。妻との最初のデートで、岩城くんの奥さんが手がける染織の作品展に顔を出した。そのまま四人で食事に行ったのだが、大切な女性を忘れたかのように男同士で盛り上がりその日を終えてしまった。
私は創業者である父の急死で、岩城くんも母上が起こした家業を継ぐため会社を離れたが、家族ぐるみの交流が続く。利害関係もなく裸で付きあえる戦友は貴重だ。そういえば出会ったころの言葉は、組織に染まりきれなかった二匹の金魚を予言したものだったのか。互いの色を確認するため、これからも酌み交わそう。(にし・まさひろ=協立電機社長)』

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