No.68 2021年8月号
もう1年半にもなろうかという自粛生活。そんな中、オンライン化の波に乗り遅くれるな!とばかりに、ネットやスマホデビューをなさる方が増えてきました。皆さん、存分に楽しんでいらっしゃるようですよ。
(取材・文 中根佳津子)
スマホを始めたら世界が大きく広がりました
今年4月ごろまでガラケーを使っていたんです。でも、ガラケーはいずれなくなると聞いて、それは困るなあと。92歳でスマホデビューは暴挙だと思うけれど(笑)、若い方にいろいろ教えて頂いて便利に使っています。
テレビも新聞もなんだか面白くなくて、最近はスマホでよくYouTube(動画投稿サイト)を見ています。コロナのことや国際問題など、いろいろな人が発信する情報を得て、視野が広がった気がします。動画はガラケーでは見られないですからね。京都にいる友達がお孫さんの成長の様子を連日動画で送ってくれて、そういうのを見るのも楽しいですね。
スマホには本当にさまざまなアプリ(サービスプログラム)があるんですね。私は万歩計のアプリを入れて、運動不足解消に廊下をグルグル歩き回っています。寝る時に布団の中でもユーチューブなどを見てしまうのですが、タイマーを設定しておけば決めた時間に電源が切れるようにもできるのね。驚くほどいろいろなことができるので、感心しきりです。
こういうことは、自分ひとりではとても無理だけれど、企画室長の淳子さんが親切丁寧に教えて下さるので本当に助かっています。
これからやってみたいのは、ゲームかしらね。麻雀が習えそうだし、ウノなんかもいいかしら。スマホを持つことで、世界が大きく広がりました。思い切って始めてみて本当によかったと思います。え?あまりやりすぎるとよくない?大丈夫。スマホ脳にならないように、ちゃんと本も読んでいますよ。
長島様
「カメラもついているのね♪」スマホで外の景色を撮影中。
ネットでギターを購入!部屋で練習しています
コロナ禍でずっと部屋にいてもつまらないので、若いころに弾いたことのあるギターをもう一度やってみようと思い立ちました。以前持っていたものは処分してしまったので、まずはギターを手に入れるところから。楽器店に「直接買いにはいけないのですが」と電話したら、ネットでも商品が選べると教えてくれました。
それで、企画室の淳子さんに手伝ってもらい、いっしょにネットショッピングをすることになったんです。山野楽器のオンラインショップの商品を見て、ギター担当の店員さんにも確認しながら選びました。ネットに写真が載っているので、色などを見て選べるのがよかったですね。ギター本体、ケース、参考本一式が部屋にいながら注文できて、たった2日で届いたのにはびっくりしました。上等なクラシックギターが来ましたよ(笑)。
今は部屋で「禁じられた遊び」「アルハンブラの想い出」などを練習しています。次は、楽譜もネットで買いたいですね。ユーチューブでギターレッスンが受けられると聞いたので、それもやってみようかなと思っています。
ハーモニカ、キーボードと、楽器の好きな高月様。ギターの練習も楽しんでいます。
高月様ご夫妻
海外にいる孫や、初ひ孫の動画を見るのが楽しみ
ロンドンにいる孫と顔を見ながらおしゃべりしたい、ひ孫の動画が見たい、というのがスマホデビューのきっかけです。スマホの知識は全然なかったので、すべて室長にお任せして手に入れました。買ったのはiPhone。流行の最先端なんですって。
始めてから、まだ2ヶ月ぐらいです。画面の文字が私には小さくて、ちゃんと押しているつもりなのですが、うまくいかなくてとまどったりすることもあります。
でも、ひ孫の動画が見られたときはとっても嬉しかった!2歳5ヶ月になる、私にとっては初ひ孫です。先日は「きらきら星」を歌いながら踊っている動画を送ってくれたんですよ。もう、かわいくてかわいくて。ほかには、ロンドンに赴任している孫が取材したyoutubeの番組を見ることもありますね。
意外にはまってしまったのが麻雀ゲーム。私、なんだかけっこう強いみたいなんですよ(笑)。
ゲームで1位を連発されています!!
橋本様
スマホ!パソコン!タブレット!教室始まりました!
「わからない」は気軽にご相談ください
長く続く巣ごもり生活の中でスマホやネットを始めると、「こんなこともできるの?!」とみなさん感激なさいます。わからないことだらけの世界ですから、気軽に相談していただけるようにと[スマホ窓口]を開設しました。購入、設定、操作など、どんなことでも遠慮なくお声掛けください。多くの方に挑戦していただけたらと思っております。
孫(岩城)淳子・企画室長
No.68 2021年8月号
皆様の心のふるさとはどこですか?そうお尋ねしたところ、たくさんの原稿が寄せられました。前号に引き続き、懐かしいたくさんの原稿が寄せられました。前号に引き続き、懐かしい記憶、心に残る思い出をご紹介します。
初めて「ふるさと」と感じた秋田県岩城町
岩城祐子会長
行政官だった父の任地を転々として育ったので、ふるさとの味を知りません。祖父母からは「女は嫁いだ家がお前様の家じゃで、生まれた家のことなど、なあんも知らんでええんじゃわいの」と言われて育ちました。結婚して昭和22年に長男を、24年に次男を産みましたが、この次男を生後1ヶ月で喪い、埋葬のために初めて訪れたのが秋田県岩城町でした。傷心のうちに愛児を土に還す際に眺めた、松の緑と海の波頭の白さが心に深く焼きつき「ここが私のふるさとになる土地だ」と深く感動したのを今でも覚えています。ですから、岩城町が私のふるさとです。町のためにロブスターの養殖や、にんじんジャムなどの事業を興したことを、懐かしく思い出します。
ロブスター養殖事業に奔走していたころ(前列左端)。カナダ・ケベック州立水産試験場にて。
家を建て、子どもを育て•••。奈良で過ごした日々
八木様
奈良を代表する東大寺大仏殿。
芦屋の生まれですが、心のふるさとは奈良です。奈良は、結婚して初めて土地を買い、家を建てた場所。京都のような派手さはないけれど、訪れた人の心を穏やかにしてくれるあたたかさがある土地です。ここで子どもを2人育てて、歌やダンスのお稽古にも通って、お友達がたくさんできました。
主人が定年退職してからは、「西国33ケ所巡礼」を2年ほどかけてめぐりました。奈良は大阪や京都へも電車一本でいける便利な場所。ですから日帰りできることもありましたが、中には奥深い山の中のお寺もあって、そういう時にはたいてい1泊して参拝しました。御朱印帳と、印を捺していただく掛け軸を必ず持ってね。事前に見どころやおすすめの店、名物などをいろいろ調べて出かけるんです。
巡礼の先々でお会いした方とは同じ目的ですからすぐにお友達になり、話が弾んでとても楽しかった。今でも部屋にそのときの掛け軸を飾っていて、当時を思い出しています。
御朱印を捺してもらった掛け軸は今も部屋の壁に。
戦前の満州での満ち足りた子ども時代
寺田様
私は9歳まで、満州で過ごしました。1905年、日本はロシアから鉄道とその沿線付属地を譲渡され、南満州鉄道株式会社(満鉄)は鉄道の改良、経営に努めました。 新京や奉天、大連などの付属地は、都市計画のもと衛生的で暖房完備の住宅で、暮らしは快適でした。 畳と床の間のある和室には季節の掛軸を掛け、花を活けていました。零下20度にもなる冬の間、子どもたちの楽しみは、校庭一面に造られたスケートリンクで滑ることでした。競争用の靴をはいて、3学期の半ばまで冷たさに足がジンジン痛くなっても滑っていたものです。
長い間生気のなかった木々は新学期が始まると共に一斉に芽吹き、 淡い紅紫の蕾をほころばせてライラックがほのかな薫りを放ち始めます。大連市では、街路間のアカシアが白い花房を一面につけ強く甘い薫りが街を包むようになると、もう初夏の始まり。子ども時代のなつかしい思い出です。
大連にあった満鉄本社は、威風堂々たる洋風建築。
大連は、春になるとアカシアのむせるような甘い薫りに包まれました。
日暮れまで遊んだ自然豊かな札幌の地
八木様
ふるさとは札幌です。大通り公園でシロツメクサの花を編んで首飾りにし、四つ葉のクローバーやネジバナをさがしたものです。時計台の鐘の音が美しく、家の2階から見える大きな落日がすばらしかった。毎日夕暮れまで、近所の子となわとびや石蹴りをして遊んだのが楽しい思い出です。冬の体育の時間には、藻岩山へスキー遠足にも行きました。
戦後、ご縁があって東京に移り住んで70年。ふるさとは遠くにありて思うもの、となりました。
懐かし四つ葉のクローバーを今は育てています。
茅ヶ崎の海岸沿いで海と松に囲まれて
小川様
松の巨木が多い茅ヶ崎東海岸。自転車を三角乗りして転んだ砂地のデコボコ坂道。バラ線囲いのさつまいも畑。麦踏み。イナゴ捕り。駅に出迎えた父から毎夕出される算数の問題に、半泣きの帰り道。夏休みの早朝、地引き網の手伝いをしてもらった小魚。ツバナの白く甘い穂。ツツジの花の蜜。枯れ松葉で焼いたゴジゴジホカホカのさつまいも。父が持ち帰った青い大房のバナナは、黄色くなるまでと母が米びつに埋めました。「1本だけ食べていい?」と弟が毎日聞いて、結局全部食べてしまった知った時の悔しさ。
海、松、焼き魚の匂い。つつましくも楽しかった日々ー。もう帰ることのない、私の大切な心のふるさとです。
この度は当社ホームページをご覧くださり有難うございます。
機関紙「銀杏」も当社ホームページも、ご入居されているお客様方の日頃の生活や活動を発信することを目的としております。
人は皆「誰かに自分の存在を認めてもらいたい。」と云う根源的欲求を持つものだと思っております。認められることで皆さま益々お元気になります。これが当社の信念「生きることは自己表現すること」に繋がっているのです。
また読まれた方より「高齢になられても皆さんこんなにも頑張られている。勇気づけられます。」との感想も頂いており嬉しく思っております。
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